無意味な議論
しばしば、「高等学校卒業程度認定試験の合格資格は、高等学校を卒業した訳ではないから高卒扱いされない」という主張をして、受験を迷う人も少なくないという話を聞きます。
まず、「高認は、8〜9科目を受験し、各科目において一定以上の得点することによって高卒を認定する試験」です。そして、高等学校卒業卒業というのは、一般的な通信制高校でいえば高等学校に3年以上在学し、所定の74単位を修得し、かつ30時間以上の特別活動(ホームルーム等)を修了した者のことを指します。
これを並べて同じか否かと問われれば、それは「違う」ことになります。
高卒とは違うから高認は意味がないという意見もありますが、違っても同じものと見做すというのが法律の趣旨です。
法治国家の日本ではどちらも高卒
「高校は学校に3年間かけて行くから良い」、「高認は試験だけだから悪い」という偏った意見もありますが、我が国の学校教育法第150条には、どちらも「大学入学資格」という意味で、全く同じ効果しかありません。
また、高校卒業は全て同じ能力を表すものでもありません。毎年のように東大合格者を出す名門高校卒業者も、地元の最低ランクの高校をギリギリで卒業した者も、学力という意味では雲泥の差があります。しかし、その高卒資格の効果は法律上は全く同じです。
文部科学省の行う試験なのだから事実上の国家試験
高卒認定試験は、文部科学省が文部科学省の名で行う試験です。つまり、試験の主催者も高卒を認定するのも、国の文部科学省です。
国が行う試験なのですから、有効か否かを議論することもない、まぎれもない高卒資格です。
高校を卒業した訳ではないけど高卒資格というのは、気持ち悪い印象があるかもしれません。
しかし、国家が認めた高卒資格なのですから、高認合格履歴を高卒として扱わないということは、許されないことになります。
そもそも論理的に考えれば、学校教育法上の高等学校卒業以外の大学入学資格が意味のないものとして捉えだしたら、専修学校高等課程も、国外にある日本の高校の分校も、国際バカロレアも、アビトゥアも高卒資格に値しなくなってしまいます。
つまり、我が国の学校教育法は、高等学校卒業だけではなく、いくつもの高卒資格を設定しているのです。そのいくつかの中の一つが「高卒認定試験」なのです。
もちろん、高等学校に通学することで得られる一般的なメリット(例えば大学の指定校推薦、各種学割、税制上の勤労学生控除等)は享受できませんが、こういうことを根拠にして高卒資格ではないと主張する人がいるのなら、議論は無駄です。その人に話は通用しません。
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